先日名古屋まで勉強会に出張してまいりました。
弊社の加盟するアマテルソーラー協会(チリウヒーター株式会社)が名古屋市に
デザイナーズ賃貸マンションを建てたそうで、見に行ってまいりました。
もちろん、ハイブリッドソーラーハウスです。
巷ではコスト最優先の賃貸物件が林立し、築年数が増えると値下げをしても、空室を埋めることが困難になっています。これからは、入居者の方にも快適で気持ちよく住んで頂き高入居率で家賃収入を安定させることが重要になります。
2030年には空き家率が30%と言われていて、20年先の高入居率は意匠と性能であると話していました。
外観は、
徳島在住の方には馴染みのある「うだつ」のある伝統土蔵風外観になっています。
欧米の住宅をよく知るチリウヒーター岡本会長が、日本の住宅の価値を高めていくためには日本の伝統的な建物がいいんじゃないかという考えから出来たみたいです。経年美化する建物てことです。
設計は、アーバン・ファクトリーの藤江 創 氏です。
施工は愛知県の旭洋木材建設さんです。
外壁は墨を塗った人見板と漆喰塗りです。
屋根瓦は三州日本瓦で、雪止め瓦までついております。
うだつがアクセントになっています。下屋根の のし瓦の漆喰を交互に乗せている所も品を感じます。
軒樋の漏斗もベテランの板金職人さんが自作したみたいです。
日本の伝統的土蔵の外観ですが、窓は洋風なんです。でも違和感がないのが不思議です。
窓枠も欧米住宅のように幅広でデティールに凝っています。
玄関ドアも洋風ですが、外観にマッチしています。しかも木製ですので断熱性のは高いです。
外部には、各住戸の給湯器が並んでいます。
一番上部はガス給湯器、その下部は床暖房補助専用のヒートポンプ、手前のグレーが床暖用のポンプユニットになります。
南面の屋根には各住戸3枚ずつ集熱パネルを設置しています。
このパネルを循環する不凍液は晴れの日ですと、熱を帯びて70℃まで沸きます。
この不凍液を1階の床下全室に循環させ床暖房します。
さらに床下の不凍液が循環するパイプをコンクリートで被覆することで、一旦温まると冷めにくい蓄熱コンクリートとなり、24時間全室床暖房となる仕組みです。
暖房光熱費の2/3は太陽熱で賄えるようになります。
(※曇り雨天により太陽熱床温度暖房で不十分な時は、自動的に補助暖房が作動します。)
さらに小屋裏には貯湯タンクがあり、この高温の不凍液によって温められ、給湯の補助ができます。
床暖房を使用しないシーズンはこの貯湯で、お風呂も、キッチンの給湯もタダで賄えます。
一般的なお湯使用量の場合、年間の給湯エネルギーの65%を太陽に依存できます。
(※曇り雨天により貯湯温度が下がると補助をガス給湯器がします。)
↑ハイブリッドソーラーハウスの経路図です。
さらにこのマンション、室内は洋風の内装になっております。外観からは想像もできないですよね。
各住戸に色も間取りも異なります。
住戸はメゾネットタイプで2階上部にはロフトもあり、収納スペースもかなり確保できています。
玄関ドアは木製なので塗装で色変えもできます。
窓サッシは戸建て住宅でも木製サッシはなかなか少ないのですが、Andersen社の木製サッシ・複層Low-Eガラスを採用しています。
木製サッシ>樹脂サッシ>アルミサッシ の順で外からの熱を伝えにくいようになります。
複層のガラスとガラス間には熱を伝えにくいアルゴンガスが充填されています。
超高断熱高気密の仕様になっていて、最高度の外皮平均熱貫流率UA値 0.27で
国交省「建築物省エネルギー性能表示」(BELS)最高5つ星を取得しています。
夏季の冷房も、
エアコン1台で全室冷えます。
小屋裏に設置した室内機(室外機は床暖房の補助に使用するヒートポンプを兼用。)1台から、天井裏、壁内部を冷気を循環させ、家全体を冷やすことができます。
天井のガラリから冷気を室内に送ります。
内装の建具は
本物の木製建具を採用しております。
戸建て住宅でも最近シート張りの建具がほとんどです。シート張りの建具は傷つくとシートが剥がれ、補修が難しいのですが、木製ですと無垢なので傷が入ろうが剥がれたりもしません。メンテナンスさえすれば長持ちします。なにより見た目が美しいですね。
階段下に収納引き出しがあったり、洗濯機置き場があったり、工夫もいろいろなされていました。
階段もストリップなので採光ができます。
あと1階の床暖房の熱が2階及びロフトまで行き渡りやすいようにもなります。(暖かい空気は上に昇っていきます。)
床材は床暖対応で透湿性のあるフローリングを貼っています。
表面は無垢材なので、シート張りのフローリングより温かみもあります。
全国から協会会員の工務店さんが見学に来ていました。
賃貸住宅をお考えのオーナーさんも是非参考にしてみてください。
建物概要
設計:アーバン・ファクトリー 藤江 創
施工:旭洋木材建設㈱ 太陽熱給湯床暖房・冷房・ チリウヒーター㈱
構造:木造2階建て 高断熱高気密住宅(外皮平均熱貫流率UA値 0.27以下)
南東 1・2階 各39.33㎡ 合計78.66㎡ ロフト 約16㎡
北東 1・2階 各39.74㎡ 合計79.50㎡ ロフト 約17㎡
場所:名古屋市千種区鹿子町1丁目26-1 ルートヒル8
所有者:有限会社 知立商事
最寄駅:名古屋市バス 猫洞通り2丁目 徒歩3分
名古屋地下鉄東山線 本山駅 徒歩13分
名古屋地下鉄名城線 自由ケ丘駅 徒歩15分
補助金:60万円/戸の※補助金の活用(H30年度まで)
※賃貸住宅における省Co2促進モデル事業